OMEGA Cal.2500
今回は法人様よりお預かりした、OMEGA初期ムーブメント「Cal.2500」のオーバーホール事例をご紹介します。
01. 作業前の状態
外観は比較的整っていましたが、内部には深刻なダメージが進行していました。
ケース内部に湿気が侵入した痕跡があり、腐食はムーブメント全体に広がっており、文字盤の裏側まで影響していました。
オーバーホール前の時計では、日差18秒の遅れが確認されていました。
02. 開けて分かった前作業の痕跡
裏蓋を開けると、オイルは一部残っていましたが、以前の作業が十分に調整されていなかった形跡が見られました。
油が多すぎて拡散している場合、パーツの噛み合わせに影響し、精度不良の原因となることがあります。
03. 徹底した洗浄工程
ムーブメントを分解すると、かなりの汚れが蓄積していました。
そこで以下の工程を丁寧に実施しています:
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洗浄液で超音波洗浄
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すすぎ(フッ素系有機溶剤など環境負荷の高い薬品は不使用)
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乾燥
この工程を三度繰り返すことで、汚れをしっかりと除去しました。
また、弊社ではETC-VIIのような回転式洗浄機は使用せず、手作業でゆっくり回転させる方法を採用しています。
この方法は、パーツへのダメージを最小限に抑えつつ、細部まで丁寧に洗浄できるためです。
04. 精度への挑戦
洗浄・組立直後も、わずかに遅れが残っていました。
そこで、テンプ(テン輪)の質量を微調整し、歩度を進み方向に補正しました。
その結果、日差は+1秒程度まで改善することができました。
05. 最後の仕上げ
風防の内側に残っていた微細なゴミも、エアダスターで丁寧に除去。
視認性と外観の美しさをさらに向上させました。
まとめ
繊細な時計は、時間と手間を惜しまず向き合うことで、本来の性能を取り戻します。
今回のオーバーホール事例は、その重要性を改めて感じさせてくれるものでした。