【体験記①】私が脱サラし個人事業主になるまで〜きっかけと理由〜

query_builder 2026/01/28

このブログでは、私の体験記や成功体験についてのエッセイになります。読者にとって「なるほど、こういう生き方もあるんだ。」と少しでも前向きに生きるための一助になれば幸いです。


時計に興味を持ったきっかけ


高校1年生のとき、期末試験のご褒美に時計を買い与えられたのがきっかけだったと思います。そんなにいい時計ではなかったのですが、自分には何だかすごく嬉しかったことを覚えています。また、父がOMEGAのシーマスタープロフェッショナル・オートマチックを持っていました。父の仕事は機械系の仕事でした。その影響かもしれません。


そうやってご褒美の時計や父の時計をきっかけに学校の図書館のパソコンで時計について調べているうちに、「COOの腕時計」のブログや「時計三昧」さんなどのHPに辿り着き、高級時計はブレスのバックルの作りが板バネでなく無垢であるとか、ミネラルガラスでなくサファイアクリスタルガラスが使われているだとか、ブレスのコマ調整方法であったりとか、知識が増えていくのが若いころなりに楽しくてのめり込んでいきました。あの感動は今でも忘れられません。


高校では、数学と物理が得意で将来就きたい仕事も漠然としていたので、現役で東京理科大学の物理学科に進学となりました。


物理学科は座学がほとんどだったので、趣味で独学で友達の腕時計の電池交換・ブレスコマ調整もやるようになり、16本くらい任されていたと思います。やはり大学入学後も時計修理の仕事にしか興味がもてなかったので、時計修理の仕事を志し、時計学校に入学し、新卒で輸入時計を扱う時計修理会社に就職しました。

保有資格について


時計学校卒業時に、マスター認定試験(機械式クロノグラフETA7750+クォーツETA955.112のOH)に上位で合格し、国家資格・時計修理技能士試験も東京都知事より表彰されました。

新卒就職後


時計で手に職を付けたいというまだまだ漠然とした志望理由で第一希望のメーカーに就職がかなわず、時計修理会社に就職しました。そこでは、入社当初より1日20本以上機械式時計を分解していました。分業制で流れ作業であったため、数をこなすことができ、ブランドやムーブメント特有の症状が傾向としてつかめてきたのが強みでした。

ただ、「時計の価値を上げるためのいい仕事がしたい。裏蓋で隠されて見えない時計修理の仕事の素晴らしさを伝えたい。」という理想の思いはありながらも、目の前の分業制の仕事とのギャップに実感が持てず、やはり漠然としていて心が満たされず、どこか心にぽっかりと穴が開いた状態で、精神的に体調を崩してしまったため 、転職活動に至りました。

転職後


転職活動していると、たまたまリユース系の大手企業様で「新規事業立ち上げメンバー募集」の仕事に出逢いました。出来上がりの仕事でただルールに従うのではなく、「0→1」の仕事がやってみたいという強い思いが芽生えてきたため、その会社に転職しました。


その会社では、思い描いていた理想の通り、メールや電話を通じて顧客との接点もあり、分業制ではなく一つ一つの時計を丁寧に直していく、新規取引先の開拓から、仕入・検収・原価計上・修理業務・検品・発送という一連の流れを経験できたのが良かったです。


具体的な職務経歴および業務内容は、


・肩書きはエキスパート職
・最初の環境は事務机と時計の在庫品のみで、PCでの在庫管理からスタート
・スイスからの時計修理工具の輸入、VELVO超音波洗浄機ETC-VIIなどトータル1300万円ほど会社で購入。
物流センターができたため、修理品以外の在庫を物流センターで一元管理


工房立ち上げ
・FY23のKPI「工房立ち上げと取引先選定、修理作業開始」
・時計のオークション出品のB to B取引業務
・時計修理作業机は家具メーカーのオーダーメイドで4台製作

時計修理開始
・時計修理用パーツ仕入のための新規取引先の社内稟議
・パーツ発注から仕入まで
・インボイス書類管理ツールの使用
・経費申請と取引先への支払依頼
・修理履歴の管理はJUNコードと紐付けてExcel管理
・FY24のKPI「複雑モデルの修理にも挑戦、私は1日2本修理、グループでの修理実績の粗利目標は月100万円」
・ROLEX3針モデル、デイトナ4130、OMEGAコーアクシャルcal.2500/3303/3330/3861/8500/8800/8900、パテック・フィリップcal.315/324系、ジャガー・ルクルトcal.899、レベルソcal.854などの自社ムーブメントもオーバーホール
・修理完了品の撮影業務
・修理完了品の発送などの物流業務
・EC販売後の再修理品の修理対応およびお客様への納期のメール連絡
・オークション流札分(指値を下回り、売れなかった時計)の検品&修理
・オークションから再仕入れしたワケアリの時計の検品&修理
・Autodesk Fusion 3D CADで、ROLEXデイトナ分解組立用の治具やコーアクシャル8800用特殊精密ドライバーの設計を担当し、外注製作
・事務作業のアシスタントパートナーへの引き継ぎ&マニュアル化


という感じです。

会社員で感じた息苦しさとメリット・デメリット


当然ですが、会社員は現場のルールや指揮に従わなければなりません。

また、最近は他業界でフルリモートという働き方も導入されてきていますが、時計業界の働き方は常に10年遅れていると思っています。事務的な仕事もペーパーレスが受け入れられにくいです。そのせいか、他業界への転職ハードルもかなり高く、気づいた頃には人生が詰んでしまう方も少なくありません。

そういった職人業界の社会的な肩身の狭さもあり、長続きしない、すぐに目の前のスキルアップに挫折し、辞めてしまう人は時計修理技能士に向かないのかもしれません。

しかし、私はそうではありませんでした。勿論、収入アップのために日本電子社などの大手精密機械メーカーの中途面接も受けましたが、やはり「時計修理を続けたい」という思いを簡単に捨てられない自分に気づき、独立に至りました。


肩書きや会社の看板という名詞で仕事を選ぶのではなく、「自分が何がしたいか」でした。



会社勤め(正社員)or 業務委託契約のメリット・デメリット


会社勤め

メリット)

・閑散期で仕事が無くても、毎月の安定した給料が振り込まれる

・スキルアップがしやすい

・社会保険完備

・住宅ローンが組める(会社規模次第)

デメリット)

・同業での副業ができないことが多く、大幅な収入アップが難しい

・仕入税額控除の仕組みが使えないため、高額な工具を給料から負担していると、消費税分が経費化できず損してしまう

・仕事内容を自由に選べない

・週5日フルタイムに拘束される

・毎日同じことの繰り返しだと、ストレスの閾値が低下しやすく、QOL低下に


個人事業主&業務委託契約

メリット)

・収入は出来高で、一時的な支出に対応可能

・売上から仕入税額控除できるので、赤字の年は還付される

・仕事内容に自由度がある

・休みを自由に取れる

・毎日違った刺激が得られるので、モチベが維持しやすく、QOLが上がる

デメリット)

・閑散期リスクが大きい

・国民健康保険料が2倍負担に

・個人は社会保険に入れない

2025年5月開業


2025年5月に開業届を提出しました。そして、創業計画書を作成し、それを元に融資審査してもらい、日本政策金融公庫から150万円の融資が下りたため、パソコンや工具を集めたりといった開業費の準備ができました。